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小林泰三「海を見る人」

 年末授業の終わる最後の週にゼミの発表とレポートの提出があります。レポートは100件近くの図書館HPを見て、その比較分析。似たようなレポートで去年20件調べましたが、あれの5倍ですか。うふふ・・・。ゼミの方は「公共図書館における特別コレクションの扱い」を選びました。これは読んでる論文が面白いのでまだやる気が出ます。

小林泰三「海を見る人」
 ハードSF。とは言え、ファンタジーが絡んだ連作恋愛物語とも読めます。
 「時計の中のレンズ」は地球を包んだ砂時計型の超巨大宇宙コロニー。これはリングワールドが砂時計になったと思えばいいんでしょうかね。遠心力が働いているので外側に立つことができる世界。その中で遊牧民が約束の地、楕円世界(多分地球?)を目指して旅してます。しかし、SFで遊牧民というのは初めて読みました。
 まだ分かりやすかったのは「海を見る人」でした。ブラックホールに近づくと時間の流れが遅くなる・・・というのを利用した時間差カップルの悲恋。スターゲートでこのネタ使ってた回があったなぁ。この理論が何から導かれてるかはさっぱり理解できませんが、相対的に永遠を生きる彼女を眺め続けるじいさんに泣けてきます。
 最後の「門」はカー型のブラックホールですよね。巨大な質量を持ったリングを回転させることによって生じた時空の歪みを利用し、転送装置として機能させるというブラックホールの利用法。まあ考えても分かるはずもないので、ハードSFは雰囲気を楽しみます。
by mizuao | 2006-12-07 11:08 | 本(著者カ行)
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