水樹和佳「月虹-セレス還元-」

 1限にグーテンベルク聖書の本物を見てきました。学校が大枚はたいて購入した一冊丸々のは、どっかの金庫に入っていてキャンパス内にないらしいので、バラバラにして一枚ものになっているのを見せてもらいました。レプリカに比べると装飾に力がこもってませんでしたが、これが世界で初めて活版印刷されたものかと思うと感慨深かったです。

水樹和佳「月虹」
 昨日気づきましたが水樹和佳子さんってペンネーム替えてたんですね。まあそれはどうでもよいとして、これは近未来SFです。
 帰る場所はあるのに、どこかに帰りたいという思いが消せない少女ソミュー。彼女は核戦争開始秒読み段階の世界で、自分がどこから来たのか、自分は何者か、何をすべきかを思い出していきます。結論としては、彼女は遠い宇宙にある惑星セレスから、滅んでしまったセレスを地球に再現するためにやってきて、地球で転生を繰り返しているエスパーだったんですが、輪廻転生って発想はこの頃から水樹さんの中にあったんだなぁと思います。輪廻転生って考え方は好きです。ヨーロッパの連中みたいに、死んでも自分の人生がそのままダラダラと続くよりは、自分の器に何らかの影響を残したまま次の中身が入っていくとい方が。
まあ輪廻転生は本筋にはあまり関係なく、ソミューがもうこれ以上どうしようもないところまで陥った人類に地球を賭けるか、一度文明をぶっ潰して平和なセレスを還元するかに焦点は絞られてきます。人間を信頼している話を描く水樹さんなので、最後は当然ハッピーエンドでほっとしますが、今現在の人類の状況に対して反省するとともに、セレスに対して深い思慕の念を抱きます。
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by mizuao | 2006-05-15 14:06 | 漫画
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