誤って消してしまった灰羽第三話に四年ぶりに再会しました。持つべきものは素敵な友達だとこういう時は心から思います。三話はヒカリのお茶目なエピソードや、レキのアトリエという伏線が出ていて結構好きな回です。
柄刀一「ゴーレムの檻」
宇佐見博士が探偵役となって、いくつもの事件を解決していくエピソード。柄刀氏の文章を読むのは初めてだったので合うかどうか不安でしたが、適度に霧がかっているような雰囲気が良かったです。絵が出てくるような話もあるのに、全体に色彩を感じられないような気がするのは新書の装丁がモノクロだからでしょうか。
宇佐見博士は何度か白昼夢らしきものを見て、その世界の中でも活躍するのですが、その時の宇佐見博士の感覚が誰かの目を通して外を見ているように思われるのも一因かも知れません。それに舞台設定が独特なため(ICOの城とか、色彩が渋いゲームのダンジョンを思い起こします)、現実感が薄いからな気がします。全体に靄がかって見えるのは。そう感じるのは私だけかもしれませんが。
ミステリーとしては、典型的密室トリックの「ゴーレムの檻」と錯視を利用した「エッシャー世界」が面白かったです。