人気ブログランキング | 話題のタグを見る

石持浅海「BG、あるいは死せるカイニス」

 灰羽連盟が今度ブルーレイで出るそうです。ちょっとした手違いで今現在すでに、DVD-BOXを二つ持っているのに、この上もう一つ増えてしまう訳です。観賞用、保存用、布教用、が笑えなくなってきました。

石持浅海「BG、あるいは死せるカイニス」
 本屋さんでタイトルが気になり手に取ったもの。自分の百合本を嗅ぎつける能力もだいぶ上がってきた気がします。
 みんなに慕われていた女生徒が学校で殺され、その生徒の妹である主人公が事件解決に乗り出す…という学園ミステリーです。これだけだと何の変哲もないんですが、面白いのは、「全人類が、生まれた時はすべて女性、のち出産を経て一部が男性に転換する」という特異な世界設定です。
 女性至上主義と人さまに言われる私としては、男性に変わるのはエリートが多いというのがすっきりしなかったんですが、一見優遇されているように見える男性が実は堕落を誘われているというのに納得しました。男性が少ないこの社会だと、子作りに励むべき男性は、ぬるくて高収入な役職に回されます。楽ができて妬ましいと思ってしまいましたが、ぬるま湯につけられた人間はろくなものにはなれないと相場が決まっています。
 そして、本来優秀であったはずの女性が男性化することで社会的に成長を止められてしまう、という社会のひずみに気づいた少女がBGを巡る大人の思惑を利用しようとしたのが事件の真相である訳です。BGがなんなのかというのも含め、推理ものとして読むには物足りない感じがしましたが、これはきっと世界設定を楽しむものだったんでしょう。解説にはSFミステリなんていう言葉も出てきましたが、そういう方面では楽しむことができました。




 ふと灰羽で東方妄想したらどうなるかを考えました。

 まず空から落ち続けるというインパクトあるオープニングを飾ってくれたラッカは、霊夢さんにお任せします。理由としては、無重力の巫女が空から落ちたら面白いので。
 となると保護者役は紫ですよね。レキ姉さんはあんなに胡散臭くはないけど、影があって包容力がありそうなあたりは一致してます。あと親しみやすい(馴れ馴れしい)ように見えて結局他人とは境界線を引いていたりするへんも。東方の中で誰かを罪憑きにするなら、紫が似合うと思います。
 子供時代のレキの救いとなると同時に、先に逝ってしまうことでレキに大きな影を残したクラモリは蓮子でしょうか。メリー=紫説は夢が広がります。百鬼夜行は何度も読み返しました。
 レキ姉さんの親友で、苦しむレキを救いたいと悩みつつ、手を出しきれないネムさんは幽々子にお願いしたいところです。クラモリに見捨てられたように感じて非行に走るレキ姉さんを諌める役です。ゆかゆゆはべったりよりも、お互いに近づききれなくてもどかしさを感じるくらいが好きです。
 あんまり出番はないけど、物語上重要なカラスさんは魔理沙で。霊夢を救おうと奮闘するなら魔理沙でいいでしょう。黒いし。



 というような感じで妄想を走らせるとこうなります。

 空を落ち続ける少女。
 自分を引き戻そうとする存在(魔理沙)を感じながらも落ち続け、地面に激突寸前で目が覚める。
 今の夢はいったいなんだったのだろうと思いつつ、身を起こして布団からあたりを見まわす。
 しかし自分がいるのはまったく見覚えのない部屋である。寝違えてしまったのか背中も痛い。


 戸惑いを覚える少女だが、すぐに襖が開いて見知らぬ少女たちが部屋に入ってくる。
 しばらく姦しく好き勝手に話しかけてくる少女たち。

 混乱する少女に、紫と名乗る年長の少女がたずねた。

 「ではまず、あなたの見た夢を話してくださる?」

 落ち着いた紫の声に、少女は自分が自分の名前を思い出せないことに気づいた。
 紫の説明によると、どうやらここでは、自分の見た夢の内容に合わせて、名前が付けられるらしい。少女たちは自分夢の内容と合わせて名前を紹介していく。
 そして自分の夢について話した少女は、紫に「霊夢」という名前を与えられた。


 しばらく話したのちに少女たちは世話役らしい紫一人を残して去っていく。
 紫は霊夢にこの世界について説明してくれるが、霊夢は次第にひどくなる背中の痛みと全身のだるさに気を奪われる。
 それに気付いた紫は、今から羽が生えて熱が出るが、一晩寝ればすっかりよくなると教えた。
 
 看病のための道具を取りに行こうとした紫だが、すぐに霊夢の背中を切り裂くように羽が生える。

 痛みに叫ぶ霊夢が舌を噛むのを恐れた紫は、咄嗟に自分の親指を霊夢に噛ませる。
 羽の生えぎわから背中を伝う血と、食い破られた親指ににじむ血。

 夢うつつで苦しむ霊夢の側で、献身的に看病を続ける紫。
 紫がぽつぽつと語るこの世界の理を子守唄に、霊夢はやがて眠りに落ちる。
 

 そして翌朝、目覚めた霊夢に紫が告げた。
 
 「ようこそ、幻想郷へ」


 あれですね。妄想乙とかいう友人の冷めた声が聞こえてきそうです。そもそもラッカが霊夢という時点で盛大にミスキャストな気がしますね。霊夢はあんなに大人しくないよ。そもそも何ものにも染まらない霊夢が罪憑きという現在を抱えているのに無理があります。
 となると、ここはゆかれいむでなく、めーさくに切り替えるべきか。罪憑き咲夜さんに保護者めーりん。
by mizuao | 2010-06-09 23:19 | 本(著者ア行)
<< 林家志弦「はやて×ブレード 12」 ナンシー・クレス「ベガーズ・イ... >>