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菅浩江「末枯れの花守り」

 今日は朝から父親の散歩に5時間ほど付き合ってきました。寒いのがいやで冬場は滅多に行かないので、山の中の風景が珍しかったです。見渡す限り、緑か茶色。隠れていた鳥の巣が丸見えな冬枯れな木の薄茶に、乾いた土の茶、それに常緑樹の緑。色のバリエーションが非常に少ない中、赤い実がやたらと目立ってました。鳥もそれを狙ってやってきてるので、山が静かな中、実をつけた木のまわりだけ賑やかでした。

菅浩江「末枯れの花守り」
 やはりこの方の文章からただよう雰囲気は感じ入るものがあります。あとがきで泉鏡花に喩えられてましたが、美しい、妖しいという言葉が本当によく似合います。連載中のビッキーも結構女の情念が込められているとは思いますが、菅さんの作品で一番初めに読んだ「鬼女の都」に通ずる情景の素晴らしさがあると思います。あれも本当飲まれる作品でした。
 この花守りも、いちいち豪華絢爛な姫君たちの登場シーンを想像して心踊らされました。昔の衣裳とか歌舞伎の意匠とか詳しく言われても理解できる教養は私にはありませんので、こんな感じかな、と思うだけですが。基調は闇に浮かぶ金でイメージさせてもらいました。
by mizuao | 2010-01-16 22:23 | 本(著者サ行)
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