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高里椎奈「フェンネル大陸真勇伝 太陽と異端者」

 寝ても覚めても、白衣の素敵なお姉さんのことを考えてしまいます。宮さまとか、静留さん以上に間違った方向に行動力を発揮してる気もしますが、それも愛故にと思うと、憎みきれないものがあります。あのうやむやな終わり方は、ちょっと自分の中で消化しきれていないですが、本人たちが納得してるなら、それでいいのかもしれません。しかし、車椅子探偵を自称してる割には、陣頭指揮してみたり、爆弾作ってみたり、やたらパワフルですよね。天才とバカは紙一重を体現してる人です。

高里椎奈「フェンネル大陸真勇伝 太陽と異端者」
 グールの島の枯れ果てた世界が面白くて、一気読みしてしまいました。素手で泥炭をこねて火を起こすとか、微生物がうようよしているせいで川の水が飲めないとか、ロビンソン=クルーソ好きの私がわくわくするネタです。神から見捨てられていると現状に甘んじるグールの集落も良い感じです。と、まあ読み進めていたら、最後でびっくりしました。
 すごいネタばれになります。フェンってグールだったんですね。ダイアンと人間との子供ということでいいんでしょうか。ほのめかされているだけですが、色素薄いとか、フェンの狼のペンダントとか、それっぽい描写があります。しかしここまで何冊か読んできましたが、この巻の最後まで全然気づきませんでした。
 確かにやたらめったら頑丈ですばしっこいなとは思ってましたが、てっきりそれは主人公補正がついているからだと……。この話がずっとグールと人間のありようにこだわり続けていた理由が、すごく納得できました。色々な国がフェンとフェンパーティーの力で幸せになってましたけど、今後フェンが果たす役割はなんなのか。グールと人間の共存共栄はいつの日になることやら。
by mizuao | 2010-01-13 23:15 | 本(著者タ行)
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