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新城カズマ「15×24 link two」

 高校の頃よく聞いていたCDを久々に聞いていました。安川加寿子さんのマズルカ第13番が大好きで仕方ありません。マズルカはこれともう一枚しか聴き比べたことがなくって、安川加寿子さんの演奏もこのショパン名曲集しか聞いてないのに語るのも大変おこがましいですが、この洒落れた間の取り方が大好きです。うろ覚えですが、フジコ・ヘミングの演奏が好まれるのは、人が思うよりほんのちょっとタイミングがずれるからだとか。確か。そうすると、安川加寿子さんのタメが私の波長ときっと合うでしょう。落ち着いているのに軽やかで、どことなくノスタルジックで。体育座りでCDコンポの前に座り込んでました。あまりピアノは好きでなかったのですが、これを聞いて以来、単に音を鳴らせるのと、弾けるということは全く別物だというのを意識するようになった覚えがあります。もう手遅れでしたけど。
 あまり物事に深く感動する質ではないので、音楽を聴いて目が潤んだのは、これとルービンシュタインのスケルツォ第2番ぐらいでした。洋楽にかぶれていた兄がCDを貸してくれるのに対抗して、ショパンのバラードとスケルツォが入ったCD貸したら、自主的にクラシックのCDを買ってくるようになったのは良い思い出です。


新城カズマ「15×24 link two」
 1巻読んでいて少しネタが薄いよなーと思っていたんですが、2巻を読むうちに気にならなくなりました。それより出来事がどんどん妙な方向にねじれていくのが楽しくてなりません。単純に徳永を助けたいだけなのに、どうしてこんなに話がこんがらがるのか。まあ徳永の自殺を見たい人とか、徳永を死なせてあげたい人とか一筋縄じゃいかない人が混じり込んでるから、事態が錯綜するのでしょうけど。語り手がどんどん変わるのに、だいたいどこで何が進行してるのか分かるのは、著者に筆力があるからでしょうね。1巻だけでは把握しきれなかったそれぞれのキャラクターが見えてきて、それも感情移入できるようになったのも大きいですね。笹浦かっこいいです。透君いい人すぎます。左右田は何らかの天罰が下ってしかるべきです。
by mizuao | 2009-10-26 00:50 | 本(著者サ行)
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