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秋山はる「オクターブ 3」

 サクセスのあのチームは新作を出さないんだろうか、やっぱ青の売上はいまいちだったのかなーと思って久々に公式サイトを見に行ったら、桂ちゃんの抱き枕とかいうものを発見してしまいました。これが1008さんとか398さんだったら真剣に悩んでいたかもしれません。が、とりあえず裏面の桂ちゃんに、柚明お姉ちゃんの鼻血が垂れるさまを想像するだけですみました。

 そして歌舞伎座に行ってみた訳ですが、また今度行ってみようと思うような予想以上の面白さでした。勧進帳はだいたい想像どおりだったんですが、予想外だったのはコメディ部分が結構笑えたことです。主役が襲いくる物盗りをばっさばっさと叩き切る、という場面で、顔がそげたり、腕がとんだり、足がはねたり、と、もう笑いが止まりません。グロテスクなんですけど、演じ方がコミカルなせいで、どうしても笑ってしまいます。あとコメディ部分にしても、もっと古典的な笑いばっかりなのかなーと思ってたんですが、メタネタがあったり、突然ぽにょぽにょ歌いだした時には、どうしようかと。紅長さんの動きとか台詞回しが一々面白くって、笑いっぱなしの一幕でした。

 いろいろと面白かった部分はあるのですが、一番魅入ったのは櫓のお七の人形振りの部分です。その前が完全にコメディで、ここから上手くシリアスに頭が切り替わるかなと心配していたのですが、まず雪景色で頭が落ち着き、人形振りに入ったところで完全に飲まれてしまいました。たんに銀のテープを散らしてるだけなんですけど、光が反射して、本物以上に雪が雪らしく見えるんですよね。それに人形振りの準備をしている間に音楽の人たちも切り替わって、三味線の音が重厚になって、雪を表わすらしい太鼓の音も響き渡ります。役者さんも、表情から動きから、ほんとに浄瑠璃の人形のようで、凝視してしましました。女形に見ほれる時が来るとは思いませんでした。

秋山はる「オクターブ 3」
 単行本で一気に読むと、登場人物の変化がはっきりと見てとれていいですね。本誌も結構丁寧に読んでるつもりですが、やっぱりコミックスの方が流れが分かりやすいと思います。なんかもう節子さんがどんどん、どんどんかわいくなっていくさまに完全にやられてしまいまいた。
 あの始めの頃の、クールで何を考えているか分からない強引なお姉さんはどこに行ったの?という、すさまじい乙女さを発揮しています。今まで色恋沙汰にのめりこんだことのなかったのに、雪乃が好きすぎて、雪乃以外がどうでもよくなる瞬間に自分でびっくり、ってかわいすぎますよね。情緒不安定な節子さんも人間らしくて素敵です。大人っぽく見えても、結局20もそこそこな訳で、これぐらいで当然なんですよね。
 本誌で読んでた時には、雪乃の浮気に本当に気が気じゃありませんでした。大喧嘩して鬱展開になったらどうしようと思ったんですが、わりにすんなりと仲直りしてくれて安心しました。節子さんのクールでドライな言動で雪乃が不安になるのも分かりますから、節子さんが早々に雪乃にぶつかりにいったのがよかったんですよね。大切なことは言葉にしないと伝わらないというののいい例でした。
by mizuao | 2009-09-19 00:06 | 漫画
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