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春江一也「プラハの春 上」

 今日の2限のノートを見返してみたら吹きだしました。書いてる最中は真面目に講義を受けていたので気になりませんでしたが、さっきみてみたら、とても大学の講義で出てくるとは思えない単語が大量に殴り書きされてます。色々な意味で素敵な先生です。
 あと、昨日寝る前に予約したはずのエル・カザドが録画されてなくてかなりへこみます。今週は期待できそうな展開だったのに・・・。はぁ・・・。

春江一也「プラハの春 上」
 「現役外交官が自らの体験をもとに描いた、国際ラブ・ロマン」だそうです。タイトルからも分かる通り、プラハの春が起こる前後のチェコスロバキアを舞台にした物語。主人公はプラハの日本大使館に勤める、まだ若き外務省のエリートで、彼はひょんなことで東独の女性、カテリーナと知り合い、たいそう美しい彼女と恋に落ちてしまいます。心理描写を読むまでもなく、二人ともほぼ一目惚れなので、めでたしめでたしとしてしまいたい所ですが、冷戦時代において西側に属する青年と東側に属する女性とでは、立場があまりにも違いすぎます。その上カテリーナはただの東独人ではなくて、元党のエリートながら反体制的な言動をとり、国外追放された身の上です。恋愛小説においては、二人の間にいかに障害がたくさんあるかどうかが面白さを決める要素の一つだと言われますが、この小説では見事にそれが果たされていると思います。二人はお互いの立場を思いやるがゆえに、揺れに揺れて、最後はどうなることやら。まだ下巻は読んでないですけど、どう考えても悲恋になるんでしょうねぇ。
 恋愛うんすんとしても十分面白いのですが、イデオロギー論が興味深いです。さすがに実際の外交官の話は説得力があり、当時チェコスロバキアにおけるこの革命が新たなる社会主義国家のテストケースとしてみられていたという話、理想の国家というものを掲げ、それ以外のものを排除する社会主義体制の恐ろしさ、など色々なネタがでてきました。一番感動したのは、チェコスロバキア人は言葉の民であるというものです。昔から周囲の民族による圧迫を受けてきたチェコでは、文章の行間や日常的な無駄話に託して、メッセージを送るという方法が育まれてきたそうです。知識人たちが送ったメッセージを、庶民たちが正しく受け取ることができる環境。こういうところでは、反政府活動も上手くいくことでしょう。
# by mizuao | 2007-04-17 21:38 | 本(著者ハ行)

冴木忍「悲しみは黄昏とともに <卵王子>カイルロッドの苦難⑥」

 クトゥルー神話の話が出たので、それについて考えていました。私が初めてクトゥルー神話の名前を知ったのは、中学生の時だったと思います。夏の魔術だったか、魔境遊撃隊だったか忘れましたか、とにかくその時は世界のどこかにクトゥルー神話というものがあるのだと信じ込んでました。それが大学入って、授業でクトゥルー神話はラヴクラフトの創作だと聞いてびっくりした訳です。
 ラブクラフト自身のは余り面白くないと聞きましたが、世界中の不特定多数が意図的に組み上げた神話というのは、何とも面白いものだと思います。人類の共通認識が歴史、というか真実な訳ですから、クトゥルー神話が架空のものであるという認識が失われたら、実際にクトゥルー神話の存在が事実となることでしょう。・・・と考えてたら、以前友人に借りたボルヘスのトレーン、ウクバール、オルビス・テルティウスを思い出しました。
 創作された物語による現実の変質。ある人が体験を記号化することで反作用を生み、それによって本来の体験も変容するという考え方があるそうです。個人レベルで起きてることが集団になっても起こるというのなら、誰かが物語りを作ることで、世界自身も少しずつ変容しているかもしれません。・・・と考えている内に疲れていることに気づきました。願わくは、私が行きやすい世界に変容してくれることを。

冴木忍「悲しみは黄昏とともに <卵王子>カイルロッドの苦難⑥」
 そろそろこれは、コメディ要素とかいらないんじゃないかと思い始めました。シリアスだけで十分面白いです。なにせミランシャ死んでしまいましたからね。あっさりとは言わないですけど、ヒロイン殺しちゃいましたよ。この人。悲劇にも程がありますよ。そりゃあ死にキャラは人気が出ると言いますが、あと3巻、ヒロインなしで話が続くんでしょうか。そういえば、ミランシャが探してたグリュウって、結局何だったんでしょうね。
# by mizuao | 2007-04-13 21:23 | 本(著者サ行)

冴木忍「野望は暗闇の奥で <卵王子>カイルロッドの苦難⑤」

 ゼミに行ってみて、意外に次の自分の発表まで近いことに気づきました。良い文献が全然見つからなくて、全く進んでいないんですよね。先進的な事例を探さなければならないはずが、ウン十年前に先進的だった事例しか見つかりません。成田の事例とか、地域の課題解決につながっていて結構使えるとは思ったんですが、今もまだサービスやってるかどうかが怪しいですから。・・・明日もちょっと学校に残って図書館を彷徨ってみるとします。

冴木忍「野望は暗闇の奥で <卵王子>カイルロッドの苦難⑤」
 イルダーナフがいなくなってからの方が、俄然面白くなってきました。単に私の好みだとは思いますが、しっかりとした保護者に守られてるよりも、ボロボロになりながらも自分で考えて、必死で生きようとする過程が好きです。ボロ雑巾状態になった陽子に楽俊が現れたように、ギリギリまで頑張ったあとに救い主が現れた方が、ありがたみがあるんですよね。ちょっとカイルロッドは悲劇要素の配分の方が濃い気もしますが。
 今回遺跡の場面で、だいぶ話の流れと言うか、舞台設定みたいなものが分かってきました。フェルハーン神殿で英雄として祀られているカイルロッドそっくりの男。あれがきっとかつて”あの方”を倒した男なんでしょう。似てるからにはカイルロッドはその血筋のものなんですかね。でもそうすると、カイルロッドは”あの方”の息子なはずですから、辻褄が合わなくなってしまいます。それとも、それで辻褄が合うようなややこしい設定なのかもしれないですね。英雄自体が父神殺しである可能性もある訳ですし。
# by mizuao | 2007-04-10 22:12 | 本(著者サ行)

冴木忍「面影は幻の彼方 <卵王子>カイルロッドの苦難④」

 今日行ったグループディスカッションの議題はある社会人バレーボールチームのキャプテンを決めるというものでした。なんか過去の古傷をえぐられた気分で、一人感傷に浸ってました。

冴木忍「面影は幻の彼方 <卵王子>カイルロッドの苦難④」
 段々シリアス部分とコメディ部分の配分に慣れて、話に入り込みやすくなりました。シリアス部分はかなり重いというのが特徴のようです。今回の人体から虫がわく話もなかなかきつかったです。しかし、カイルロッドもほんとに大変ですよね。行く先行く先で自分のせいで、関係のない人たちが死んでいくんですから。まさに、死神です。本人も疫病神だと自嘲してましたけど、精神的にはかなりきつそうです。今はムルトを倒して、ルナンを救うという信念に支えられていますが、これから先はどうなることやら。あっ、今回一応母親の言葉に励まされてるんでしたっけ。それなら単純なカイルロッドなら、しばらくは持ってくれるんでしょう。
 カイルロッドの偽者については・・・。カイルロッドのビジュアルがそもそも私の好みからはずれているのに(男の長髪は苦手です)、その上中身が子供ですからね。純粋すぎる子供というのは、タチの悪いものの筆頭です。
# by mizuao | 2007-04-09 22:43 | 本(著者サ行)

ピーター・メイル「南仏プロヴァンスの木陰から」

 芝公園でお花見をしてみました。日本酒飲んで、おいしい弁当を食べて、団子とクレープを食べて満足でした。我ながらすごい現実逃避してるなーとは思いますが、程よくストレス解消しないと心身によくないですからね。今日周りの話を聞いていても、結構皆さん精神的に参っているようです。

ピーター・メイル「南仏プロヴァンスの木陰から」
 父親の本です。父は紀行文やら、この手の外国のエッセイが好きなようです。
 イギリスからプロヴァンスに移住してきた著者によるエッセイ集。さすがイギリス人だけあって、ユーモアがきいてます。「庭に埋もれたナポレオン」では、自分の家の庭で金貨を2枚発見した著者は、さらなる財宝を求めて庭中掘り返します。当初はバラを植えるはずだったのに、広大な畑が耕されていき、ついには隣人と共に金属探知機まで借り出す始末。自身を道化役にするおちゃらけた文章が楽しいです。
# by mizuao | 2007-04-06 19:30 | 本(外国人・その他)