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ジャック・フィニィ「ゲイルズバーグの春を愛す」

 先週小学生からの通学路である道を通っていたら、反対側から私の母校の制服を着た小学生が歩いてきました。その子は小さな石を蹴飛ばしながらゆっくり歩いてました。私も小学校の頃、同じ道で同じように石を蹴りながら家に帰っていたのを思い出し、なんとも懐かしくなりました。

ジャック・フィニィ「ゲイルズバーグの春を愛す」
 「ゲイルズバーグの春を愛す」含む短編集。タイムトラベルとか時空を超える話がいっぱいです。その中で「ゲイルズバーグの春を愛す」はどんどん開発の進む街ゲイルズバーグが、街の人たちに昔の街の過去を見せるというもの。もう線路がないはずの場所に深夜通る電車とか、火事を消しにくる消防車(馬車)とか、ささやかな幻影です。ほんの小さな効果しかもたらさない幻影を見せながら抵抗するゲイルズバーグの姿は、淋しいはずなのに美しく感じられます。
 他は昔の設計図に従って昔の建築材を使って家を建てたら、その家に取り込まれ自然と昔風の生活を送るようになった夫妻の話、「クルーエット夫妻の家」、骨董品の机を通して、現代の青年とビィクトリア朝時代の女性との間で交わされた文通の話、「愛の手紙」が面白かったです。机の引き出し3つ分しか届けられない手紙の中で少しでも互いの想いを伝えようとする姿が切ないです。最後の最後のメッセージの部分では鳥肌が立ちます。
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by mizuao | 2006-05-31 11:37 | 本(外国人・その他)

奈須きのこ「空の境界 下」

 書評を書けというレポートが出ました。ジャンルは問わずと言われたものの、何を書いたものか。いつものように、思いつくまま垂れ流しという訳にもいかず、ちゃんと構成を考えなきゃいけないし。

奈須きのこ「空の境界 下」
 なぜ下巻かというと、たまたま図書館の書架にあったのが下巻だけだったから。去年全体通して読んだけど、内容を忘れたので読み直しました。
 自身の起源が虚無であり、生まれつき殺人を嗜好する少女、両儀式。陰と陽、そしてそれの枠となる三つの人格を持つややこしい彼女は、浅葱色の着物を愛用してます。なんか最近浅葱の字を見かけるのが、殺人鬼にゆかりのあることばっかな気がします。
 
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by mizuao | 2006-05-27 09:51 | 本(著者ナ行)

ボルヘス「伝奇集」

 LaLaを読んでて思ったんですが、やっぱ少女漫画は絵が綺麗だなと。単にあの無駄に濃い絵が私の好みにあってるのかもしれませんが、樋野まつりさんとかなかじ有紀さんとか好きです。特にヴァンパイア騎士の優姫の幼き日の姿は破壊的なかわいさでした。枢様がかわいがるのもよくわかります。

ボルヘス「伝奇集」
 友達から借り物。私の頭では複雑すぎて解釈しきれなかったんで、適当につらつら書きます。いつも通りに。
「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」
 唯物論、目に見えるものがすべて→目に見えるものは全てある。架空の国を創造し、それを百科辞典を通して人々に実在の国と信じ込ませる。架空の国が現実になる。世界は変質する。
「円環の廃墟」
 他人を想像で創造した男が、最後の最後に自分も誰かの想像の産物であることに気づく。
「バベルの図書館」
 無限の広さを持つ図書館、それがすべてである世界の話。中には25の記号の羅列による本が内容が重複することなく無限に並んでいる。記号の組み合わせは無限であり、全ての事象が世界のどこかにある書物に確率的に記されていることになる。つまり過去の記録、未来の記録、唯一正しい目録、それ以外の多数の間違った目録などを。人々のいくらかは自分の未来について書かれた本を探そうとする。それがあっているか間違っているかも分からずに。
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by mizuao | 2006-05-25 13:33 | 本(外国人・その他)

H・G・ウェルズ「タイム・マシン」

標題作含む傑作短編集。「タイムマシン」は80万年後の未来に飛んだ時間航行家の話。物体が存在するには持続という要素が必要であり、空間軸だけでなく時間軸も存在するはずで世界は四次元である。とかなんとか。だからといって何故タイムトラベルができるかは謎ですが。あと本筋とは関係なく、時間航行家にタイムトラベラーとルビがふってあると何かかっこいいですよね。

他は「塀にある扉」がよかったです。人生の重大時に限り楽園につながる扉が出現し、惑わされ続ける男の話。この男は固くなに抵抗しますが、もったいないことです。
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by mizuao | 2006-05-24 11:57 | 本(外国人・その他)

鎌谷悠希「隠の王 1」

 昨日サークルの新歓だったんですが、一次会は右隣と前にすごい美人さんな先輩、左隣にはかわいい同期の子が座っていて至福のひと時でした。二次会は二次会で前三人一女だったし、隣の子が日本酒付き合ってくれたし。サークルの女子率が増えるのはいいことです。

鎌谷悠希「隠の王 1」
 現代版ナルトとまでは言いませんが、主人公が自らの体の中に危険物を抱えていて、その力に暴走するという辺が似てると思いました。主人公の性格はナルトの直情径行型とは全く反対で、クールな小悪魔で見た目が小動物系という性質の悪さ。周囲が振り回されまくっています。
 主人公がユフィばりの大手裏剣使ってたり、印を組んでたりとそれなりに忍者ものアクションの雰囲気が出てます。
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by mizuao | 2006-05-21 13:54 | 漫画

深見真「ヤングガン・カルナバル 天国で迷子」

 授業で図書館受持率という言葉を習いました。一人が図書館で借りる本の冊数/一人が読む本の冊数※100 というものですが、ようは読んだ本の内図書館で借りたのは何%かという割合を示す言葉です。で、これが成人は15-20%、児童30-50%だそうで、私は70-80%。こういうのを図書館のへヴィーユーザーというのでしょうか。

深見真「ヤングガンカルナバル 天国で迷子」
 劇画チックなアクションシーンが売りのこの小説。乱取の際に何かに役立たないかとか期待して読んでるのですが、今回は銃撃戦が多くて徒手戦が少なかったため(私にとって)使えそうな技が出てきませんでした。ジャンプして相手の首を両足で挟み込んで、全体重のせて首の骨をひねり折るとか、やってみたいと思わないでもないですが、いくらなんでも合気でやる訳にはいきません。やった途端に抹殺されます。
 物語の筋としては、今回良いところで終わってしまいました。今まで何だかんだで無敵だった塵八と弓華がぎりぎりまで追い詰められます。弓華なんか敵に捕まってしまったままだし、明らかに次巻で拷問されそうです。まあ豊平重工編は次回で終わりらしいんで、ちゃんと次で片はつくはずですが。
 
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by mizuao | 2006-05-20 10:35 | 本(著者ハ行)

岡田春恵「人類vs感染症」

 夏休みの図書館実習の行き先が発表されました。全部で20程あって、その内合宿にかぶらない日程のものは7つだけ。さらにその内私が行きたい公共図書館は3つだけ。またその内2つは千葉県・・・神奈川県南部に住む身としてはできれば避けたいというか、むしろ志望しても絶対落とされます。第5志望まで書かないといけないのに。さあ、どうしよう。

岡田春恵「人類vs感染症」
 ペスト・コレラから鳥インフルエンザまで、科学的に歴史的に説明してくれます。
 スペインかぜ(鳥インフルエンザ)が流行った時にアメリカで流行ったわらべ歌だそうです。
「わたしの小鳥の名前はエンザ 窓を開けたらエンザが飛びこんできた in-flew-Enza(インフルエンザ)」
 まあ単にだじゃれになってるだけですが、まわりでバタバタ人が死んでる中で子供たちがこの歌を歌っていると考えるとなかなかシュールです。どこの国でもわらべ歌って恐ろしいですねぇ。日本的な発想だとこんな歌を歌ってたら、他人に呪詛をかけてるか、自分で災いを招きよせてるかのどっちかのような気がします。
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by mizuao | 2006-05-19 10:38 | 本(著者ア行)

ジャック・フィニイ「盗まれた街」

 なんとか灰羽第二次布教はそこそこ成功しました。レキ姉さんの素晴らしさについて語れる仲間ができてよかったです。

ジャック・フィニイ「盗まれた街」
 宇宙人もしくはそれに準ずるものによる地球人のっとり型の原点にあたる作品だったと思います。外国作品はもちろん筒井さんとか恩田さんとか私が読んだだけでも結構この型の作品はたくさんあります。そういや聖霊探偵もそうっしたね。
 この前のふりだしに戻るとはまた違って、スリルあふれる作品でした。やはりのっとり系は自分の隣人が信じられなくなるところにその恐怖はあると思います。誰が味方で誰が敵か疑心暗鬼になりつつ、自分ものっとられてしまった方が早く楽になるかもしれないという誘惑。
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by mizuao | 2006-05-18 15:13 | 本(外国人・その他)

水樹和佳「月虹-セレス還元-」

 1限にグーテンベルク聖書の本物を見てきました。学校が大枚はたいて購入した一冊丸々のは、どっかの金庫に入っていてキャンパス内にないらしいので、バラバラにして一枚ものになっているのを見せてもらいました。レプリカに比べると装飾に力がこもってませんでしたが、これが世界で初めて活版印刷されたものかと思うと感慨深かったです。

水樹和佳「月虹」
 昨日気づきましたが水樹和佳子さんってペンネーム替えてたんですね。まあそれはどうでもよいとして、これは近未来SFです。
 帰る場所はあるのに、どこかに帰りたいという思いが消せない少女ソミュー。彼女は核戦争開始秒読み段階の世界で、自分がどこから来たのか、自分は何者か、何をすべきかを思い出していきます。結論としては、彼女は遠い宇宙にある惑星セレスから、滅んでしまったセレスを地球に再現するためにやってきて、地球で転生を繰り返しているエスパーだったんですが、輪廻転生って発想はこの頃から水樹さんの中にあったんだなぁと思います。輪廻転生って考え方は好きです。ヨーロッパの連中みたいに、死んでも自分の人生がそのままダラダラと続くよりは、自分の器に何らかの影響を残したまま次の中身が入っていくとい方が。
まあ輪廻転生は本筋にはあまり関係なく、ソミューがもうこれ以上どうしようもないところまで陥った人類に地球を賭けるか、一度文明をぶっ潰して平和なセレスを還元するかに焦点は絞られてきます。人間を信頼している話を描く水樹さんなので、最後は当然ハッピーエンドでほっとしますが、今現在の人類の状況に対して反省するとともに、セレスに対して深い思慕の念を抱きます。
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by mizuao | 2006-05-15 14:06 | 漫画

小川一水「老ヴォールの惑星」

 朝から柔道着にアイロンかけてました。昨日の朝洗濯した分が乾きません。まあこの天気なら乾かなくて当たり前ですが、今日昼から演武会に召喚されているので、とっとと乾いて欲しいです。濡れたままの道着を着るのは合宿の時だけで十分です。

小川一水「老ヴォールの惑星」
 去年のベストSF国内篇第一位をとった作品で、中短篇が四つ収められています。人に貸してもらって読みましたが、もしかして読み損ねていたらどれだけもったいなかったかを真剣に考えてしまいます。
 「ギャルナフカの迷宮」は地下迷宮になっている監獄に閉じ込められた男の話です。この迷宮に投獄された政治犯たちは、水場と餌場が一箇所だけ印された地図と他の人間を威嚇するための石だけを持って徘徊しています。餌場と水場の間はわざわざ距離をとってあるために、一箇所に留まることもできません。閉じ込められた囚人が互いに疑心暗鬼となって、正常な人間性を失うように設計されています。そんな中で主人公がいかに、他の囚人たちの人間性を取り戻させ、一致団結して洞窟を脱出するか・・・なんですが、この手の極限状態での人間の工夫話が好きなので、とても楽しめました。ロビンソン=クルーソとかモンテクリスト伯の牢獄生活とかのノリで。努力して技術を編み出す度に、どんどん生活が便利になり、発展していく過程は見ていて感動します。
 「老ヴォールの惑星」は絶滅の危機に瀕した地球外生命体が、外の世界に行こうとする話です。この手の話の筋はよくあると思うので、いかに奇妙な知生体を考え出すかが、面白いかどうかの一種の目安となると思います。その点で見ると、私的にはヴォールよりも「幸せになる箱庭」のビーハイブ人の方が愛嬌があってかわいかったです。
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by mizuao | 2006-05-14 11:38 | 本(著者ア行)