カテゴリ:本(著者ナ行)( 8 )

野尻抱介「太陽の簒奪者」

さて、一週間ほど前、台湾に行ってきました。海外に行くと、思わず文化の違いについて思いを馳せてしまうものです。

なぜに南国の方々は、女の子同士で手をつないで歩くのでしょう。
大学生以下の女子二人組のかなりが、手をつないで歩いています。
本格的人ごみに入ると腕を組んでしまうので、あなたと恋人つなぎかどうかは観察できなかったのが口惜しいところです。
高雄で同じ観光船に乗り合わせた手つなぎ二人組が、ショートパンツで、生足が草食獣のようにすらりとしていたのが印象的でした。夜景そっちのけでガン見していましたので、よく捕まらなかったものだと思います。

一度気になりだすととことん気になるもので、一日目から街行く若い女性を視線で追尾してたのですが、5人に1人ぐらいは私基準で美人でしたね。
ハーフとか移民の国は美人が多いとかいう都市伝説がありますが、台湾の歴史を考えるにそういうものなんでしょうか。
大学時代台湾で知り合った南部出身の学生さんが、男女二人とも顔立ちスタイルともに整っていたので、南部の人は美形というイメージがあります。
その時の女の子は小柄で目鼻立ちのはっきりした猫科な顔立ちをしてましたし、男性は、間違いなく私が今まで出会った中で、1,2を争う美形でした。背も高くて、彫りが深くて男前。深夜、ぼく、実はゲイなんです。と切り出された時、これだけ美形なら許されるよね、と思わず納得したことを思い出します。

野尻抱介「太陽の簒奪者」

 創元から出てたゼロ年代ベストSFを読んでいて、大風呂敷の話が破天荒で面白かったので、こちらも買ってきました。
 天文ヲタの少女が科学者となって、ファーストコンタクトをする話です。太陽の回りに建造されたリングが、まっとうに異星人由来の人工物だったのは拍子抜けでしたが、基本を抑えた堅実な話だなぁと思いました。ただ非適応的な知性が、なぜ高レベルなのか、いまいち腑に落ちませんでした。適応的な存在の方は分かるのですが、適応的でない存在がどんなものか分かりません。だいたいSFで高次な生命体というと、悟りを開いて、意識が宇宙に遍く在るようになりました、というのが出てきますが、非適応的知性の始まり部分がピンときません。
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by mizuao | 2010-12-06 20:21 | 本(著者ナ行)

日経コミュニケーション編「ARのすべて」

 親がここ二週間ほど中欧に行ってきていたのですが、その間に取ってきた15時間に及ぶビデオを見せられ続けています。アウトバーンを200キロ近くで走っているようなんですが、ドイツの北の方ってどこまでも平らですよね。世界地図とかで見ててもやたらと黄緑色に塗られる平地部分が多かった覚えはありますが、丘一つない感じです。そこで家畜が放し飼いにされています。日本の感覚だと、そういう土地は人間様が住むところなんですけどね。

日経コミュニケーション編「ARのすべて」
 拡張現実。夏前ぐらいに寧々さんに関するARもどきの動画が上げられてましたけど、あれは実に素敵でしたよね。オチ部分は無理として、デバイス越しに嫁を現実にオーバーレイさせる、というのが実際にできるようになるまで、あとどのくらいかかるのでしょうか。まさにリアル電脳メガネです。この本の中でもクリッカブル・ワールドという言葉が出てましたが、ラギッドガールしかり、どうもまだARはSFというか近未来の技術という印象を持ってしまいます。
 この本の中で紹介されているARの実用例を見ていると、まだいまいちぱっとしない感じがします。セカイカメラは初めて知った時はすごいとは思ったんですが、空間がゴミのようなタグで埋め尽くされるだけのような気がしてなりません。ロボット型検索エンジンも、表示順で上位に上がってこようとするエロサイトとのいたちごっこの末に進化したというような話も聞いたことがありますし、まあやってるうちになんとかなるのかも知れません。
 この本を読んだ印象だと、ARそのものの技術どうこうというより、まだ発想が追い付いていない感じですよね。もはやなくなってしまった建物を遺跡の上に再現、とかすごいとは思いますが、どうも局所的というか喜ぶのは内輪だけという感じがします。地図替わりに使うというのも、地図の方が使い勝手はいいような気がします。ゲームの中で、矢印でプレイヤーキャラの向かうべき方向が指示
されることがありますが、あれってかえって迷うような気がするんですよね。まあARがもっと一般的になれば色々思いつく人も出てくるのでしょう。 
 
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by mizuao | 2010-09-18 21:00 | 本(著者ナ行)

中山可穂「深爪」

 マクロスの映画を見に行ってきました。シェリルのライブ×戦闘シーンがたくさんあって大満足です。ランカの歌も好きですが、爆発音BGMにして映えるのはシェリルの方だと思います。もし自分が命を懸けてみんなを守るぜーという状況に陥った時、シェリルが自分たちのために歌ってくれていたら、×1.8補正くらいで頑張れると思います。やはり、軍隊に軍歌は必要ですし、戦場に女神は必要ということでしょう。
 しかし初っ端から、白黒シェリルが最高すぎました。白のかわいさにニマニマし、黒のエロかっこよさでニヤニヤし、黒が白の首筋に噛みついたあたりで、もう一度見にくることを決意しました。
 あとはアルトがかっこよかったです。自由落下してくシェリルとランカを、いったい何度助けたことやら。やる時はやる男とかではなく、常に頑張ってます。追尾弾を交わしつつ、Gに耐えてる姿にときめきました。あと
バルキリーの機動性も素敵です。やはり、人型ロボットだけでなく、戦闘機のあの機能美を感じさせるフォルムに色気を感じます。

中山可穂「深爪」
 この方面でここまでドロドロなの読んだのは初めてでした。中山可穂さんの名前は知りつつ、敬遠してたんですが、こういう感じだったのですね。不倫、ダメ、ゼッタイ。
 1章は翻訳家×人妻A。2章は人妻A×詩人。3章は人妻Aの夫による1人称。子供もいる家庭が崩壊していく様が描かれています。一番衝撃的だったのは3章ですね。妻を寝とられてのんびり構えてられる男性の心情というのが、なんとなく分かった気がします。理解ができないので、危機感がわかない。結局そのせいで彼は、自分のセクシュアリティにまで混乱をきたしてしまってるので、不憫というか自業自得というか。
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by mizuao | 2009-12-13 16:31 | 本(著者ナ行)

中里十「君が僕を2 私のどこが好き?」

 恒例、クリスマスのクッキー作り。これをツリーに飾りつけてると、そろそろ年末だなーという気がしてきます。我が家の風物詩となってます。まあだいたい毎年この作業を手伝わされる訳ですが、あれですね。星型のクッキーにアイシングをかけてる時に、ほんのちょっと手元が狂いました。いやー、うっかり「龍」の字を書いてしまったじゃないですか。おっかしーな、うふふ。と思ってるうちに、同じことをして慌てて頬を染めるメイド長を幻視しました。

中里十「君が僕を2 私のどこが好き?」
 始め確か「どろぼうの名人」を読んだんですよね。それで一度目は、女の子のちょっぴりエロティックな不思議空間に見せかけて実は内実ドロドロな話なんだか、そう思わせて結局ピュアなんだか、よく分からなくて混乱しました。少なくとも私が今まで読んだことのある作品の持たない空気だった訳です。二度目に読んで、やっとこれは面白いんじゃないかということに気づきました。
 2作目の「いたけな主人」は、1作目でこの著者に慣れたから大丈夫だと思って読んだら、よりすっとんでるではないですか。1作目と世界設定は同じくしているので、千葉が王国として独立しているのは分かってるんですが、それでも登場人物たちにより語られる世界観に幻惑されました。投票でそのへんの一般人から国王決めるとか、その女王がわがままで自分好みの美少女にメイド服着せて、身の回りの世話させつつもといハーレム築くとか、ボディーガードがメイドと亡命(駆け落ち)してロシア行くとか、結局最後は王子様的に戻ってくるとか、オリジナリティーにあふれていたと思います。
 しかし何より登場人物たちがつかめないんですよね。女王さまとか結構ツンデレでSな子してるようにみえて、そんな類型的なものにあてはめると重大な見落としをしているんじゃないかという気がしてきます。

 この「君が僕を」は1巻をそもそも買い逃してるので、恵まれさんの設定がぼんやりとしか分かりません。恵まれさんはお金も持っても触ってもいけなくて、定期すらダメ。みんなのお布施という名の寄付により生活が成り立っていて、恵まれ講と執事さんが面倒を見てる。スーパーのレジの前で、誰かが自分の分の買い物かごの会計をしてくれるのを待ってる姿とか、それが彼女の日常なんでしょうが、主人公以上にハラハラしたと思います。
 恵まれさんも相当謎なんですが、一番意図が読めなかったのが主人公の継母です。子持ちの男と結婚する理由は何と聞かれ、金目当てだと断言できる強さ。主人公と仲良くしたいんだか、色々ちょっかいかけてくるのですが、それが徹底されていないのがまたややこしい一因になってると思います。女の子に向かって、私は女が大嫌いとか言ってはだめでしょう。そもそも主人公を困らせるためとはいえ、「私のどこが好き?」とか初対面の人に聞かれたら、主人公じゃなくても言葉に詰まると思います。それで、相手の耳の形とか思い浮かべる主人公も存分に病んでますけど。いや、この話は一人称だから、実は継母は純粋に主人公と仲良くしたかったけど、どうしていいのか分からなくて葛藤して、それを主人公が曲解したからあんな妙な人間関係になったんでしょうか。もう数回チャレンジしないと、私には読解しきれません。


幻視しました。

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by mizuao | 2009-11-29 00:46 | 本(著者ナ行)

並木伸一郎「未確認動物UMA大全」

 昨日久々に部活の人たちと会いました。ちょうど今母校が文化祭をやってるので、その機会に集まろうということで。先輩も二人いらしてたんですが、一人は院生、もう一人は母校の保健室の先生になられているそうです。びっくりです。わざと転んででも傷を作り、保健室に通う自分の姿が目に浮かびます。

並木伸一郎「未確認動物UMA大全」
 たまにどうしようもなくしょうもないものを読みたくなります。読んでいて、結局確証があるようなUMAは全くいないなーと馬鹿にしてましたが、そういえば確証があったらそもそもUMAではないんですよね。当たり前ですが。
 気に入ったのはイエレンにチュパカブラです。チュパカブラは有名ですが、イエレンは初めて聞きました。イエティとかビッグフットとかと同じで類人猿というか、非常に人間に近い猿。何が気に入ったかと言うと、ほとんどの目撃証言の中に、にたにた笑っていたというのがあることです。にたにた笑いながら掴み掛かってくる類人猿。なんて薄気味の悪い生き物なんでしょうか。このイエレンが生息していると思われる地域を、中国政府が外国人立ち入り禁止にしているあたりもまたなんとも面白いです。
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by mizuao | 2007-10-07 11:09 | 本(著者ナ行)

奈須きのこ「空の境界 下」

 書評を書けというレポートが出ました。ジャンルは問わずと言われたものの、何を書いたものか。いつものように、思いつくまま垂れ流しという訳にもいかず、ちゃんと構成を考えなきゃいけないし。

奈須きのこ「空の境界 下」
 なぜ下巻かというと、たまたま図書館の書架にあったのが下巻だけだったから。去年全体通して読んだけど、内容を忘れたので読み直しました。
 自身の起源が虚無であり、生まれつき殺人を嗜好する少女、両儀式。陰と陽、そしてそれの枠となる三つの人格を持つややこしい彼女は、浅葱色の着物を愛用してます。なんか最近浅葱の字を見かけるのが、殺人鬼にゆかりのあることばっかな気がします。
 
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by mizuao | 2006-05-27 09:51 | 本(著者ナ行)

西澤保彦「異邦人」

今朝の夢も最悪でした。どっかの役場で深夜のアルバイトの募集をしてたのに行ってみると、死体回収のバイトでした。プールとも花壇ともつかないところにドロっとした感じに死体が埋められているのを、月明かりのもと十数人の人たちと群がって、スコップですくいあげていきます。病院のバイトの都市伝説とMissingが混ざってしまってました。

西澤保彦「異邦人」
 過去にとばされたおっさんが、殺された自分の父親の死を食い止めようとする話です。それにおっさんのお姉さんの問題が絡んで微妙なことになってます。主人公の父親は砂浜で死んでる所を発見されるのですが、砂浜には足跡が残されてません。それに過去にとばされた人間はその世界に干渉できないというのが加われば、犯人は自ずと分かる訳で、話はこっちよりもお姉さんの問題の方がメインになっています。トリックの方は、西澤さんの超能力事件簿みたいなシリーズがあるのでまあお得意のという感じで。お姉さんの方は家庭教師に行って、教え子の誘い受けにのるのはどうよと思いました。SF的な問題から心情的な問題まで、一通りは楽しめました。
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by mizuao | 2006-02-03 13:15 | 本(著者ナ行)

梨木香歩「西の魔女が死んだ」

昨日ふと思い立ってフランス象徴主義についてでも勉強しようと、ネルヴァルやらマラルメやらランボウやらの詩を読んでみました。実に枕草子を上回る睡眠導入効果を発揮しました。図書館地下三階の静かで暖かな空気が漂う中、気づいたら一時間ほど経過してました。あのまま寝続けてたらサークルに遅刻してました。危なかった…。
ヴェルレーヌの詩はいくつか気に入ったものが見つかりましたが、マラルメとかはさっぱり分かりませんでした。ランボウの地獄の季節もあんなに読みにくいものだとは思わなかったし。自分が根本的に詩とかに向いてないことが分かりました。何とか文学系の専攻に行かなくてよかったです。

梨木香歩「西の魔女が死んだ」
不登校児になりかけの中学生の少女がおばあちゃんの家に逗留する話です。おばあちゃんのもとに預けられる孫という点でこの前の悪童日記と似てましたが、そっちが寒々しい気分になれる話だったのに引き換え、非常に心の暖まる話でした。
少女のまいが森の中に自分の居場所を発見するシーンがあるのですが、そこがとても気に入りました。何かあった時に一人こもれる空間を確保するのはとても大切なことです。それが静かな森にぽっかり空いた空間だというのがとても羨ましいです。
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by mizuao | 2005-12-15 12:56 | 本(著者ナ行)