カテゴリ:本(著者サ行)( 52 )

菅浩江「末枯れの花守り」

 今日は朝から父親の散歩に5時間ほど付き合ってきました。寒いのがいやで冬場は滅多に行かないので、山の中の風景が珍しかったです。見渡す限り、緑か茶色。隠れていた鳥の巣が丸見えな冬枯れな木の薄茶に、乾いた土の茶、それに常緑樹の緑。色のバリエーションが非常に少ない中、赤い実がやたらと目立ってました。鳥もそれを狙ってやってきてるので、山が静かな中、実をつけた木のまわりだけ賑やかでした。

菅浩江「末枯れの花守り」
 やはりこの方の文章からただよう雰囲気は感じ入るものがあります。あとがきで泉鏡花に喩えられてましたが、美しい、妖しいという言葉が本当によく似合います。連載中のビッキーも結構女の情念が込められているとは思いますが、菅さんの作品で一番初めに読んだ「鬼女の都」に通ずる情景の素晴らしさがあると思います。あれも本当飲まれる作品でした。
 この花守りも、いちいち豪華絢爛な姫君たちの登場シーンを想像して心踊らされました。昔の衣裳とか歌舞伎の意匠とか詳しく言われても理解できる教養は私にはありませんので、こんな感じかな、と思うだけですが。基調は闇に浮かぶ金でイメージさせてもらいました。
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by mizuao | 2010-01-16 22:23 | 本(著者サ行)

新城カズマ「15×24 link two」

 高校の頃よく聞いていたCDを久々に聞いていました。安川加寿子さんのマズルカ第13番が大好きで仕方ありません。マズルカはこれともう一枚しか聴き比べたことがなくって、安川加寿子さんの演奏もこのショパン名曲集しか聞いてないのに語るのも大変おこがましいですが、この洒落れた間の取り方が大好きです。うろ覚えですが、フジコ・ヘミングの演奏が好まれるのは、人が思うよりほんのちょっとタイミングがずれるからだとか。確か。そうすると、安川加寿子さんのタメが私の波長ときっと合うでしょう。落ち着いているのに軽やかで、どことなくノスタルジックで。体育座りでCDコンポの前に座り込んでました。あまりピアノは好きでなかったのですが、これを聞いて以来、単に音を鳴らせるのと、弾けるということは全く別物だというのを意識するようになった覚えがあります。もう手遅れでしたけど。
 あまり物事に深く感動する質ではないので、音楽を聴いて目が潤んだのは、これとルービンシュタインのスケルツォ第2番ぐらいでした。洋楽にかぶれていた兄がCDを貸してくれるのに対抗して、ショパンのバラードとスケルツォが入ったCD貸したら、自主的にクラシックのCDを買ってくるようになったのは良い思い出です。


新城カズマ「15×24 link two」
 1巻読んでいて少しネタが薄いよなーと思っていたんですが、2巻を読むうちに気にならなくなりました。それより出来事がどんどん妙な方向にねじれていくのが楽しくてなりません。単純に徳永を助けたいだけなのに、どうしてこんなに話がこんがらがるのか。まあ徳永の自殺を見たい人とか、徳永を死なせてあげたい人とか一筋縄じゃいかない人が混じり込んでるから、事態が錯綜するのでしょうけど。語り手がどんどん変わるのに、だいたいどこで何が進行してるのか分かるのは、著者に筆力があるからでしょうね。1巻だけでは把握しきれなかったそれぞれのキャラクターが見えてきて、それも感情移入できるようになったのも大きいですね。笹浦かっこいいです。透君いい人すぎます。左右田は何らかの天罰が下ってしかるべきです。
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by mizuao | 2009-10-26 00:50 | 本(著者サ行)

新城カズマ「15×24 link one」

 2日間奈良に行ってきました。最近旅行に行くたびに、酒瓶を一本抱えて帰るのが恒例になっていまして、今回は梅酒を買ってきました。花札シリーズの梅酒。奈良公園内の酒屋さんで色々試飲させてくれて、やたら濃厚でどろっとした舌触りが気に入って買ってきました。さらりとしていることを売りにする梅酒もありますが、私はとろっとした方が好きかもしれません。舌にしつこく残る方が、梅の味や薫りが染みわたる気がします。
 そしてなんとなくその梅酒の銘柄でググっていたら、すごくネタなものを発見しました。石見銀山の梅酒。この村でいったい何が起こったんでしょう。まあ何かが起こったのは村そのものじゃなくてこの酒蔵なんだとは思いますが。「なんだお前、このラベルは!!」「父さんは古いよ。今の時代、父さんがこだわる味だけじゃ売れないんだ。俺たちが生き残るには、もうこれしかない。俺を信じてくれ。」もし観光にでも行くことがあったら、一本買おうと思います。

新城カズマ「15×24 link one」
 私が大学時代に読んで気に入った小説ベスト10には入るであろう、「サマー・タイム・トラベラー」の人の新作です。今回は今のところSFはしておらず、青春小説っぽいのと、ネット信奉者がいる辺が共通点でしょうか。「サマー・タイム・トラベラー」と比べると、ネタが薄めで話も軽めなようです。論理を理解するために立ち止まることなく、すらすらと読めてしまいます。その分スピード感はありますよね。どうやら話自体が24時間制限つき、登場人物15人が入れ替わり立ち替わり語り手になるという形式なので、事が空転して、どんどん取り返しのつかないことになっていくこの話には、この軽さがちょうどいいようです。まあ『藪の中』と同じような形式な訳で、今のところ登場人物たちのお互いに対する印象と実態のずれ具合を楽しんでいます。
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by mizuao | 2009-10-19 22:44 | 本(著者サ行)

司馬遼太郎「街道をゆく 15 北海道の諸道」

 先日古武術の演武会というのを見物しました。薙刀ぐらいならともかく、鎖鎌とか手裏剣とか、普通に武道をやっていてもお目にかかれないものもあったのでとても面白かったです。鎖鎌って、漫画とかだと鎌ついてる方がぶんぶん飛んでくるけど、実際ぶん回すのは分銅の方なんですよね。中学ぐらいの時読んだ忍術の本を思い出した。鎌と言えば、結構鎌二刀流(というのかどうか…)を継承しているところが多いのも、昔って農民は足軽だったんだよなーというのが実感できて面白かったです。薙刀では振袖着た女の子たちが激しい立ち回りをしている流派が印象的でした。明らかに場から浮いていて、女の子たちの重心もいまいち落ちている感じはしませんでしたが、若さゆえの勢いも清々しいです。

司馬遼太郎「街道をゆく 北海道の諸道15」
 この前読んだ本に、本の装丁は大事だよという話が出てたんですけど、もっともですよね。そこでは集英社文庫の人間失格とかが例としてあがってましたけど、この新装版も本屋で平積みにされた時相当目を引きました。シリーズ全部、空の写真に揃えたんですかね?20、30代女性の目を引きそうなこのデザインで、街道をゆくをやるのかーと感心してしまいました。でも結構歴史ロマンとか悠久さを感じて、合っているんですよね。
 かく言う私も、恥ずかしながら街道をゆくシリーズを読んだのは初めてです。もっと紀行文なのかなーと思ってましたが、実際はその土地にまつわる人物や歴史、そこから発展していく様々な思索がほとんどで、地域の現在についてはあまり記されていませんでした。私は紀行文の楽しみは、現地の食の紹介にあると思っている不埒な人間なので、ちょっと拍子ぬけしました。ただその分、語られる歴史は大学受験レベルでは習わない詳細なもので、とても興味深く読むことができました。開拓民とかなりたくないなーと。
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by mizuao | 2009-02-18 23:01 | 本(著者サ行)

時雨沢恵一「キノの旅 12」

 ほろ酔いでいい心地です。アブサンも結構いいですね。ただ、飲むぞ、というときにしか飲む気にならないせいか、消費がとてもとても少ないです。自分用の酒を置くスペースが瓶1本分しかないので、正直そろそろ次のリキュールに移りたいところです。
 基本的に単体でしか飲めないのが難点なんですね。ココナッツとかベイリーズとかみたいに牛乳とかジュースで割って、日中から簡単に飲むわけにはいきません。その分今日みたいに、仕事疲れたな~、一人で暇だな~という気分の時に最適。とりあえず、氷の上にちびちび注いで、カラカラしながら、透明だった液が白濁していくのを楽しんでいます。次は角砂糖に火をつけて・・・というのをやってみようか画策しています。ああ、出雲で買ってきたしょうが糖がまだあるはずなので、あれで代用してみましょうか。この味ならジンジャー系もそこまでひどくはならないはず・・・。まあ、明日の夜も一人なので、それは明日の楽しみにとっておきましょう。
 さて、おつまみに銀杏食べてたんですけど、炒った銀杏ってなんでこんなに美味いんでしょうね。茶碗蒸しの銀杏とかは、とくに好きでもなかったんですが、炒った銀杏はギガうまです。独特の匂いも苦味もねちょっとした歯ざわりもみんな好きなんですが、何より炒ってまだ熱いうちの翡翠が、神々しいまでに美しいです。やっぱ食べ物って見た目も大事ですよね。透明感のある翡翠といったら、もう非の打ちどころもありません。殻の下に隠れた薄皮の銀色もとても美しいです。メタリックな銀ではなくて、植物的な銀。木の枝の新芽の色なんですよね。アンティークっぽい、優しい銀色です。まあ、アブサンのおつまみにするにはどうなんだろうと自分で思いましたが。
 次は、さっき削ったイタリアで買ってきたチーズで、チーズオムレツでも作りましょうか。うん、そうしよう。冷蔵庫に生ハムあるわよ、とか電話で言ってくる母親は、確実に私にアル中になることを推奨しているように思えます。

時雨沢恵一「キノの旅 12」

 最近のキノの中に、百合要素があると聞いてバカのように買ってしまいました。ものの見事にはずしました。この巻ではなかったようです。しかし、キノを読むのもいつ以来でしょうか。学園キノとかは他人に借りて読ませてもらったりしてたのですけど。きっと中高生ぐらいだと、この淡白さと距離感がたまらない時があるんでしょうね。キノを読むたびに星新一を思い起こすのは、私だけでしょうか。
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by mizuao | 2008-11-01 21:45 | 本(著者サ行)

庄司卓「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ  シリーズ」

 朝刊のコラムに釘宮さんの名前が出てて吹きました。元々そんなお堅いコラムではないのですが、文脈的に無理に入れる必要がないような気がします。執筆者のこだわりを感じるのは気のせいでしょうか。

庄司卓「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ  シリーズ」
 4月入ってから夜な夜な読み返し、一月ほどかかりました。まあ20冊以上ありますし。
 中学の時アニメで知って、その後原作を買い揃えた覚えがあります。大学に入ってからDVD最終巻を買って見てみたのですが、これってこんな話だったっけかと驚きました。戦艦の上に武士の甲冑来た女の子が立って刀で闘ってるんですからね。この演出の何が気にいったんだと当時の私に問い返してみたくなります。
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by mizuao | 2008-05-06 21:07 | 本(著者サ行)

砂浦俊一「シアンとマゼンタ」

 明日は飛行機と船に乗らなくてはなりません。別に事故るとかないとは思いますが、この前の旅行で乗った飛行機会社がちょうど同じ空港で事故ってくれたり、気違いな国有軍の船が突っ込んでくるかもしれません。地元のローカル線も危うく正面衝突、レール崩落、下の道路の車巻き沿いという大惨事を起こしかけてくれました。ブレーキの故障とかで15分ほど空中で立ち往生してくれた幼き日の思い出がよみがえります。自分で用心のしようもない分不安です。

砂浦俊一「シアンとマゼンタ」
 新刊を一気に2冊も買うと、スーパーダッシュ文庫の手先になったような気がします。まあ全然そんなこともないですが。
 ゲッペルさんの一巻が伝奇系で面白くて、二巻は??方向性変わった?ヒーロー役影薄っ!という感じで印象的でした。だから少女二人組みが主人公という今作を買ってみた訳です。しかし私はゲッペルさんの方が好きだと思いました。ザコ敵数匹倒してボス戦という流れなのですが、ザコ敵が一巻で収めるには少し多かった気がします。悪役が悪役になりきれてないし、かといっても同情する気にもならない中途半端な感じで。まあそれがいいという人もいるのでしょうけど。
 見える人と切れる(突ける?)人という組み合わせは高里さん原作を思い出します。こういうのはお互いの信頼関係が大事なんですよね。多分。となるとシリーズになれば、どんどん二人のお互いを信じる力は強くなるはずです。・・・こう考えると元々それなりにうまくやっていたグループが崩壊していったMissingはラノベとしては異色だったのでしょう。
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by mizuao | 2008-03-08 22:19 | 本(著者サ行)

柴藤羊二「図解雑学 宇宙旅行」

 呼び声の物語を聞きつつ、亜紀の声にものすっごい違和感を覚えました。私にとってはなのはとか極上の人のイメージが強いんで、声を抑えて吐き捨てるようにしゃべる彼女が必要以上に怖いです。

柴藤羊二「図解雑学 宇宙旅行」
 ロケットの仕組みから、スペースコロニーの建設まで。ライカ犬は実は熱でやられて死んだという話にショックを受けました。今までずっと毒入りの餌を食べて眠りについたと信じてましたよ。どっちにしろ宇宙のどこかに飛んで行ったかどこかの軌道上をぐるぐる回っていると思うので大差はありませんが、その経過が大違いです。
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by mizuao | 2007-11-11 19:37 | 本(著者サ行)

島田洋七「佐賀のがばいばあちゃん」「かあちゃんに会いたい」

 ある程度沈んだ時は意味もなく笑えるものやいい話を読みたくなります。しかし沈み方が激しくなった時は、どうしようもなく絶望的なものに接したくなります。どうあがいてもどうしようもない状況を眺めてる内に、自分がいかに世界にとってどうでもいいことで悩み苦しんでいるかを感じ、楽になります。でも自分が楽になったところで、現実の課題が片付くわけではなく、結局私が卒論で絶望しかけてる現状に変わりはないんですよね。不毛です。

島田洋七「佐賀のがばいばあちゃん」「かあちゃんに会いたい」
 沈み方が軽かったときに読んでたもの。意味もなく笑える話やら、笑えるけどじーんとくる話の集合体で、ほどよく沈んでる時にはよい読みものだと思います。主人公とその祖母がド貧乏の状態をたくましく生き抜く姿に感動します。どんな状況でも人間は幸せを感じられるんだということが、一巻冒頭に書いてありましたが、実際今だったらぐれて引きこもりにでもなってそうな状況なのに、主人公もよく頑張ってますよね。ばあちゃんのユーモア精神は見習いたいです。
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by mizuao | 2007-08-19 14:56 | 本(著者サ行)

清涼院流水「LOVE LOGIC」

 一日パソコン使ってたら目が痛いです。休憩中にDSやってた自分も馬鹿なんですけど・・・。やはり任天堂のアクションは面白いんですよね。64マリオがこれで5周目に入りました。

清涼院流水「LOVE LOGIC」
 清涼院流水の作品を1冊読んでみたくて借りてみました。特に意識してるつもりはなくても、結構メフィスト賞の作家さんを追いかける傾向があるようです。本の中身はさすがメフィスト系列の人だと思いました。密室に男女5人ずつとわりとベタな設定ですが、後半ゲームブック仕様です。一つをのぞいてBADENDでかなり分岐もあるので、全部の選択肢を読みつぶすのが結構大変でした。
 恋人紹介所に登録した男女5人ずつが山荘に招待され一室に集められ、自分たちの生死をかけたゲームに臨むことになります。事前に登録したデータを元に、自分たちの中で組み合わせを作り、それを失敗するとそのカップルが死んでいくゲームです。この辺のやり取りが論理的だったりドロドロだったりで面白かったんですが、一番度肝を抜かれたのはホストの兄ちゃんの発言ですね。初っ端に自分が同性愛であることを明かし、早々に相手を見つけて脱出します。なんとも意表をついた展開でした。
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by mizuao | 2007-08-15 21:52 | 本(著者サ行)