アサウラ「ベン・トー サバの味噌煮290円」

 屋久島に行くのに色々と装備を揃えてます。レイン・コートとかリュックとかその他もろもろに防水スプレーをふっかけて。しかしガイドブックを読んでいるとスニーカーではだめだと書いてあります。踵が厚くて足首の固定できるトレッキングシューズが望ましいと・・・。でもトレッキング・シューズと同程度のごつさを誇る私のスニーカー。山行くときとかもだいたいこれで行ってるので、まあこれでいいかなと思ってしまいます。履きなれない靴でマメ作るよりゃ幾分かましでしょう。

アサウラ「ベン・トー サバの味噌煮290円」
 なんとも脱力を誘うタイトル。前作は2作ともかなりシリアスだったアサウラさんですが、編集者がちょっと違った芸風のものを書かせてみようとしたらしく、苦労なさったようです。そもそも事前に男主人公と買う気が失せたのですが、あとがきからそれも編集者の陰謀であったことが分かり購入しました。正直アサウラさんが書いてるんじゃなかったら、こんな見るからにバカ小説っぽいのは買わないよなーと思いながら・・・。
 しかし読んでみたら面白いです。とても半額弁当を奪い合ってるとは思えない緊張感ただようアクションシーン。前作からガンアクションが上手い人という印象だったのですが、銃なしでもいけるのが良く分かりました。おばちゃんと茶髪がショッピングカート押し合っているところなんて、本来なら引くようなネタなのに、この流れの中でやられるとかっこいいです。豚のグレートアップバージョンが大猪なのも上手いです。たかが半額弁当を糧に成長していく主人公の姿も素晴らしい。ばからしい。
 そしてアサウラさんの食べ物の描写がまたいいんですよね。半額弁当とかスーパーのおにぎりとか、本来ならそこまで語るべきところがないであろうものが、とてもおいしそうに思えます。”透明ビニールというセクシャルな服を羽織って艶やかな黒下着を見せつけてくれる大和撫子。その下の純白のシャリに守られた具材は梅、紀州の赤い文字が僕を誘ってくる。あえて紀伊ではなく紀州なのが実にエロイ・・・ではなく、ニクイ。”たかが50円のおにぎりにこの気合の入れ方。作者の食生活が透けて見えるようです。
 半額弁当を勝ち取り損ねた敗者(主に主人公)の夕食、どんべえ。そのどんべえがまたおいしそうなんですよね。それで影響を受けやすい私の今日の晩飯はどんべえです。どんべえに商店街で買ったコロッケ一つ。主人公の夕食を再現してみました。でも栄養に一抹の不安を感じたので、昼に茹でといたほうれん草をトッピング・・・。量的にも不安を感じたので、焼き餅を二つほど放り込みます。・・・もはや敗者の食事ではない豪華さに美味さ。氷結な方にどやしつけられそうです。
 あとは主人公含め登場人物たちも素敵です。クールビューティーな先輩に、どSな委員長。腐女子で漢好きな戦友。ありがちな設定ではありますが、主人公のそれに対する反応が絶妙でなんとも言えません。石岡君ネタも面白いし。バニラとか紅は話的に一巻完結でしょうが、これはまだまだ話的に続けられそうね気がします。半額弁当を壮絶に争ってる時点で出落ちな気もしますが。とにかく続編が出るんだったら、白粉と白梅の関係をもっと掘り下げてくれというのが私の希望でしょうか。
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by mizuao | 2008-03-06 22:29 | 本(著者ア行)
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