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加納朋子「掌の中の小鳥」

 ふと思い出して某ゲームの続編のページをのぞいてみたら、特報第一弾とか出てるじゃないですか。そして、相変わらず凝ってるなぁと思いつつ秋田さんのトークを聞いていると、なんと漫画化のお知らせ。前作の方もちょっと掲載されるそうです。しかし全く知らない雑誌ですね。・・・特報第二弾の方は買ったことはないけど聞き覚えのある雑誌でした。
 Roman五曲目は、最後 やがて懐かしきも美しき あの荒野を駈け廻る為に とか言ってる辺が好きです。あと、忘れないよ・・・とかのわりとゆっくりした部分と。 そこかしこで、どっかで聞いたような旋律が出てくるのは、物語が繋がっていることを示しているのでしょうか。それとも同じひとが作ってるから似ているのか。
加納朋子「掌の中の小鳥」
 金曜あまりのへこみっぷりに、これは加納さんに頼るしかないと本棚をあさりました。図書館で借りて、夏の実習中に癒しを求めて買って、それで今度読んだので4回目ぐらいでしょうか。推理小説って一度ネタが分かっちゃうと読む気しなくなるんですが、加納さんの作品は何度も読んでしまいます。推理部分がつまらないわけでは決してなくて、他の日常の描写が魅力的です。あと起きてることが結構残酷だったりするんですが、なぜか世界が善意であふれてるように感じます。
 この作品の主人公冬城圭介も斜に構えた捻くれ者ですが、自分はなにか大切なものが欠けていて、人間として欠陥品なのではと悩んでいます。人からときにクールと言われてしまうような、閉鎖的で自己完結型の性格。私は彼みたいに賢くはないですが、共感するところは多いです。周囲の人と話していても、自分との間に不透明な膜があるかのように感じる。深海魚みたいとは的を射た表現です。
 まあこのうじうじした主人公だけでは話は進まないので、相手役として紗英が出てきます。困った人を見捨てるのは義侠心が許さないとか言って、当たり前に人を助けられる方です。圭介の欠けた部分を埋めるのにぴったりの性格で、多少自信過剰なのも彼女の魅力のうちでしょう。相当いい性格してます。加納さんの作品の中では、神野先生、瀬尾さんに次いで憧れるキャラクターです。
by mizuao | 2006-12-10 21:13 | 本(著者カ行)
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