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水樹 和佳子 「イティハーサ 1~7」

 灰羽の名前のつけ方でも、イティとの共通点を見出せます。灰羽達は初めてみた夢をもとに名前をつけ、その名前の音と漢字がそのものの本質を現すようです。ラッカが落下であり絡果、レキが礫であり轢であるように。イティの方もキャラクター達の名前の音や漢字に注目すると納得がいく所がたくさんあります。

水樹 和佳子 「イティハーサ 1~7(文庫版)」
 昨日一日で一気読み。今回昔気づけなかった所に随分気がつきました。ほんと読み返してよかったです。特に7巻のもろにSFやってる辺に頭が追っ付けてなかったので。
 調和とはエントロピーの増大であり、安定した宇宙は進化することなく破滅する。1万年後にくる調和の神を打ち破る方法を探るために、カオスは二大大陸を作り、亞神と威神を生み出し、一つだけの正しい道しかもたらさない(つまり調和と破滅をもたらす)神、天音を討ち果たし、否定する者を待ち望んだ。で選らばれたのが、透子と鷹野。透子は輪廻転生を繰り返す鷹野の魂を見つけるために、半永久的に生きる存在である夜麗王と融合します。と適当にまとめると訳わからないですね。ですがとにかくすごい創り込まれていて、絶対に読む価値があります。
 キャラクターも非常に魅力的な人が多いです。桂とか言動はまるで男なのに、すごい細やかな気遣いができる優しく強い女性で、他のキャラクター達をひきつける理由がよく分かります。周囲の人たちを命を賭して守ろうとし続ける桂には憧れます。桂の名前とかも音で読み解こうとすると、活が一番しっくりきますね。一狼太や青比古の生きる希望である桂です。
 桂関連で行くと、最後那智がすごい良い仕事をしてくれました。何考えてるか分からない悪役だとか思ってましたが、青比古を呪うがごとく助けるために自分を殺させたシーンにはぐっときます。ここで那智が頑張ったからこそ、最後青比古は桂に「・・・・・」と伝えることができたんですから。言葉が力を持つ世界で言われるこの言葉には、口先だけではない確かなものを感じることができます。
by mizuao | 2006-05-06 19:30 | 漫画
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