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小川一水「煙突の上にハイヒール」

 職場の出入り口にある受付にマリのフィギュアが飾られてました。

 自分の目を疑いました。なぜに破のマリさんがこんなところにいるのでしょう? 40,50前後の人しかいないかなりお堅いはずの職場なのに、わざわざ箱と並べて飾る気合いの入れ様。いったい誰が?いつ?なぜ?落し物? それとも何か踏み絵的な意図でもあるのでしょうか? これを見てあからさまに動揺して抱えた荷物を落とした私は、もうヲタの烙印を押され、職場で村八分で磔刑で火炙りで十六聖人で……あばばばばばばば。まわりに誰もいない時間帯で、本当によかったですね。
 しかし受付のガラス越しに見ると、まるでショーケースに飾られているようです。ショーケースの中のマリがこっちを見て、「一人じゃ淋しいから、アスカも連れてきて欲しいにゃ」と囁いてきます。黙れ私のゴースト。わたし、ピンクのプラグスーツよりスパイダーマンっぽい緑のやつの方が好きなんですよね。プラグスーツは太ももの肉感が強調されるのが素敵です。でも制服もかわいいですよ清潔感があって、とかうっかり心の赴くままに口走っちゃったらどうしてくれましょう。ああ、マリかわいいよマリ。出入りする度に確実に視線がそっちに奪われます。
 頼むから私の心の平安のために早く撤去してください。でもそれはそれで、回復ポイントが減ります。ひゃっはー。

小川一水「煙突の上にハイヒール」
 友人のすすめの中編集。小川一水さんは、老ヴォールか大六大陸以来でしょうか。
 おすすめの「おれたちのピュグマリオン」、確かに面白かったです。会社で介護用の機械を作る傍ら、精巧な人型メイドロボを作ってしまうマッドサイエンティスト。いや、メカニックとかエンジニアでしょうか。いずれにしろマッドです。
 とても純情な青年なのですが、好きな人好みのロボットを作って、そのロボットと相手を結婚させてしまう。自分はロボットを操作して、ロボットを通して相手とロボットのやりとりを疑似体験……。リモート恋愛とか、遠距離恋愛の一歩上を行きますよね。性別が一緒というのでそんな回りくどいやりかたになったのか、相手のセクシャリティに配慮したからこその勝利なのか。いずれにしろすごい発想です。と思いつつ、オンラインゲームでプレイヤーキャラ同士で結婚するなんてのもありますし、そこまで現実味のない話ではないのかもしれませんね。
 パンデミック最初の感染者がいたぶられる「白鳥熱の朝に」も時事で面白かったですが、標題作「煙突の上にハイヒール」が気に入りました。自分は地味だと信じ切ってるOLが、結婚詐欺に合いかけた勢いで、日本女性初のタケコプター使いになるというお話。結局街中で目立って飛ぶとかそんなことはなく地味なままですが、地元の繁華街をセグウェイで疾走する時に感じるであろう気恥ずかしさ想像すると、目立ちたくないというOLさんの気持ちもよく分かります。
 この装置、実際にはタケコプターよりもっとずっと大きなプロペラと電池を背負って空を飛ぶものです。電池がすぐ切れるというのはタケコプターと一緒ですね。空を飛び立いと強く願うのは、ドラゴンボール世代共通の病であると信じている私としては、こんな機械ができたら是非やってみたいです。山の中で。
by mizuao | 2010-02-18 23:33 | 本(著者ア行)
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