尾崎翠「第七官界彷徨」

 神戸地震から、もう十五年経過したそうですね。幸いなことに私の親戚で亡くなった人はいませんでしたが、父親の実家となかなか連絡がとれず、テレビで映される被災地の状況を食い入るように見つめていた覚えがあります。亡くなられた方々のご冥福をあらためて祈りつつ、関西出身の友人たちに出会えたことに感謝してみようかと思います。

尾崎翠「第七官界彷徨」
 しばらく前に読んだ漫画のタイトルが、これのパロディだったようで…。作者は戦前少女雑誌に投稿していて、それからプロデビューされた方らしいです。となると、吉屋信子さんとかと同じ世代でしょうか。
 上京し、二人の兄と、従兄の女中係として共同生活をする主人公。当時の状況はよく分からないんですが、若い男女が一つ屋根の下ってよくあったことなのでしょうか。実際兄二人が保護者みたいなもんなので、なにも起こりようがないよなーと思いきや、結構従兄と主人公はいい仲なのか。しかし、ちょくちょくあるそういう描写は子犬が戯れてるような感じで、どっちかというと次兄が室内で育ててる苔の発情の方がエロティックですね。
 分裂症の美人患者に惚れて落ち込む長兄も素敵ですが、自室をかいわれ大根畑にする次兄が素敵です。論文の序論からほとばしる知性とダメな人っぷりがたまらない。なんだかんだで妹思いなのもよいです。特に何が起こるわけでもない話ですが、この第七世界を漂ってそうな登場人物たちが見どころなのでしょうか。第六感を超えた第七感を探す少女は思春期の誤差の範囲内に収まってそうな気もしますが、男性陣は手遅れ気味です。
[PR]
by mizuao | 2010-01-17 19:29 | 本(著者ア行)
<< 高里椎奈「フェンネル大陸真勇伝... 菅浩江「末枯れの花守り」 >>