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新城カズマ「15×24 link one」

 2日間奈良に行ってきました。最近旅行に行くたびに、酒瓶を一本抱えて帰るのが恒例になっていまして、今回は梅酒を買ってきました。花札シリーズの梅酒。奈良公園内の酒屋さんで色々試飲させてくれて、やたら濃厚でどろっとした舌触りが気に入って買ってきました。さらりとしていることを売りにする梅酒もありますが、私はとろっとした方が好きかもしれません。舌にしつこく残る方が、梅の味や薫りが染みわたる気がします。
 そしてなんとなくその梅酒の銘柄でググっていたら、すごくネタなものを発見しました。石見銀山の梅酒。この村でいったい何が起こったんでしょう。まあ何かが起こったのは村そのものじゃなくてこの酒蔵なんだとは思いますが。「なんだお前、このラベルは!!」「父さんは古いよ。今の時代、父さんがこだわる味だけじゃ売れないんだ。俺たちが生き残るには、もうこれしかない。俺を信じてくれ。」もし観光にでも行くことがあったら、一本買おうと思います。

新城カズマ「15×24 link one」
 私が大学時代に読んで気に入った小説ベスト10には入るであろう、「サマー・タイム・トラベラー」の人の新作です。今回は今のところSFはしておらず、青春小説っぽいのと、ネット信奉者がいる辺が共通点でしょうか。「サマー・タイム・トラベラー」と比べると、ネタが薄めで話も軽めなようです。論理を理解するために立ち止まることなく、すらすらと読めてしまいます。その分スピード感はありますよね。どうやら話自体が24時間制限つき、登場人物15人が入れ替わり立ち替わり語り手になるという形式なので、事が空転して、どんどん取り返しのつかないことになっていくこの話には、この軽さがちょうどいいようです。まあ『藪の中』と同じような形式な訳で、今のところ登場人物たちのお互いに対する印象と実態のずれ具合を楽しんでいます。
by mizuao | 2009-10-19 22:44 | 本(著者サ行)
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